早くちゃんと否定しなきゃ!!









「昨日はごめん!本当にごめん!!」


お前何したんだよー、とオレたちをからかう声に顔に熱がのぼる。
でも今はそんなことかまってられない。


「昨日?あの赤ちゃんのこと?」
「そ、そう!」
「ああ、全然気にしてないよ!っていうか、いいじゃない、元気な赤ちゃんで」
「ああー!!違うよ、そうじゃなくって〜!!!」


マフィアとかそういうの忘れて欲しいだけなのに!


しかし、さんは周りを見回して声を潜めた。


「大丈夫、マフィアってことは秘密にしておくよ」


話通じてないー!!


「はよー、なんだ、朝から仲いいな」
「山本ー!」
「あ、山本君、おはよー」
「何だ?朝から集まって?」
「昨日の話だよ!」
「あー、マフィアごっこなー」
「しー!!山本君!!マフィアってのは超極秘情報だよ!迂闊に喋っちゃダメ!」
「お?あー、わりーわりー」


そうじゃなくて! っていうか、さん、山本ばりの天然!?


「もー、どうして俺の周りは話聞かない人ばかりなんだ!」
「お前遊びにも一生懸命なのなー」


そうこうしてる間にチャイムが鳴って先生が入ってきた。





「…というわけで、クラス費を提出して貰う」


先生がそう言ったときだった。


「あ、あれ!?俺のクラス費がない!!!!」


斜め後ろの鈴木君が叫んだ。
教室がざわめく。


「な、なんだ鈴木!?ちゃんと朝鞄に入れたのか!?」
「入れたんですけど…!!」


騒然となる教室でさんが立ち上がった。
ちょっと…何を言うつもりだ!?


立ち上がり、鈴木を見て、クラス中を見渡してからさんは言った。


「犯人はこの中にいます!!」
「根拠のない推理来たー!!」
「これは見物だな」
「リ、リボーン!」


俺がやむなくつっこんでいる間にリボーンがいつの間にか俺の横に来ていた。
今日は刑事のコスプレをしている。


「君たち、落ち着きたまえ!!」


突然の警官の乱入にクラスは余計ざわざわする。
……そんな馬鹿な!!
そして、その中さんがリボーンを見ていった。


「刑事さん!真犯人、私が必ず見つけます!」
「素人の君にどこまでできるかわからないが期待しているよ」
「よーし…!!」


あああ、リボーン、余計なこと言うなよ…ただでさえさん、テンション上がってるのに!!


「お?なんかわからないけど、がんばれー」


山本の声援にさんは軽く手を振る。いやいや、昨日まで話してなかったのにうち解けすぎー!


「犯人の可能性があるのはふたり…隣の席の山田君、斉藤さん」


クラス中がごくりと息をのんで見守る。指名された二人はびくっと体を強張らせる。
リボーンも集中する。


「取ったなら取ったと言いなさい。山田君…いくら家に山田君の帰りを待つ病弱の母親と妹がいても…」
「いや、明らかに違うだろうそれー!!」
「くっ…!確かにうちは貧しいけれど、盗みだけはする成って、かあちゃんが、かあちゃんが…!!」
「山田君…!貴方がまっすぐに育ったこと、お母さんも感激していることでしょう…」


いやいやいや!
クラスも感激してるムードみたいになってるけど、絶対おかしいから!


「あいつ人情派なのなー」


山本!目を覚まして!


「それじゃあ斉藤さん…平和な日々に飽きて刺激が欲しくなった…そうでしょう?」
「うう…確かに刺激は欲しいけど…でも、友達のクラス費を盗むなんて、そんなこと…!!」
「お金が…欲しかったのでしょう?」 「違う!私は…」


クラス中がごくりと見守る中、急に教室のドアが開けられた。


「隆!まーた、クラス費忘れて!!あら…なんかお取り込み中?」


「普通に山田のお母さん届けに来たー!!」


真犯人登場にクラス中は静まりかえった。


「犯人は…貴方だったんですね」
「え?あ、そうねー。ちゃんと鞄に入れたつもりだったけど、
ほら、最近の鞄ってポケット多いでしょ?ポケットに入れたつもりが床に落ちてたのねー」


意外な真相にクラスは更に騒然となる。


「鞄が…犯人…今回は意外な所に犯人は潜んでいました…でも、真実は必ず暴かれる…」


教室がわき上がった。





「リボーン!!見ただろ、推理なんかじゃないんだって!!」


俺が言ってもリボーンはぼんやりしている。(いや、人の話を聞いてたことなんてほとんど無いけど!)


「ふーむ、かなり荒削りだな、鍛え甲斐があるぜ。」
「あ!ていうか俺、マフィアのボスになんかならねーからな!!」


俺の言葉がむなしく響いた。
















「さっきの推理すごかったね。感激しちゃった。」
「えっへん。」


「きょ、京子ちゃんまでー!!??」


自分の常識を疑った一日だった。