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お年玉の使い道 (200701 お礼)






お年玉をもらった!(たらりらったらー)

わぁ、嬉しいなぁ!!
これで早速探偵小説全集を買ったり月刊探偵を買ったり普段買えないものを買うのだ! と、うきうきと書店の前まで来たのに。

「あ・・・!」

書店は閉まっていて、初売りは3日から、と張り紙に書かれている。

「しまった!そうかぁ、新年はお休みかぁ」

落ち込んで、きた道を戻ろうとすると、

「おー。どうしたんだ」

や、ややや、山本君!

「わ、わわ、あけましておめでとう!」

慌てて挨拶すると山本君は思いついたように「おめっとさん」と返してくれた。

「わりーわりー、すっかり挨拶忘れてた」
「ううん!別に!」

わわ、今年はいい年になりそうだ!

「で、何してたんだ?」
「あ!お年玉もらったから本買おうと思って」
「本?お前らしーのなー」

俺なんて漫画とかかって終わりそー、と笑う山本君。ああ、新春からなんて爽やかなんだろう!

「山本君は何してたの?」
「ん?あー、挨拶回りの途中」

見ると、自転車のかごには手ぬぐいがたくさん積まれている。

「そっか、おうちのお手伝いかぁ、偉いなー」
「そうでもねぇよ。毎年恒例だから慣れちまったし」

そかそかー、とか話していると、目の前から見慣れた怖い人が・・・
あ、ああ、ああれは新春でも見間違えることはない、獄寺君!!
思わず山本君の陰に隠れる。
獄寺君は私に気づいてこっちに一直線に来た!ひぃ!

「バカ女!なに隠れてんだ!」
「ひぃ!」
「まぁまぁ、びびってんじゃん、やめろよなー」

山本君が間に入ってくれる。
獄寺君は舌打ちをした。

「それよりお前何してんだー?」
「暇だから十代目に新年の挨拶に行くトコだよ」

新年の挨拶!

「あ、ツナんとこかー。じゃあ俺もいこうかな」
「んだと!?真似すんじゃねー!」
ひぃい!

「まぁ、いいじゃん。お前も行くだろ?」

山本君は断れないけど後ろから睨んでいる獄寺君がすごく・・・怖いです。





「ったく、新年早々なんで神社なんかいかなきゃいけないんだよ〜」

折角ゲームをやっていたというのに、母さんに言われてチビ達を連れて初詣に行くことになった。

「寒いし、早く終わらせるぞー」

(特にランボに)言うけど、こいつらきいてるのかなー。
それよりも、京子ちゃんいたりしないかなー。
俺が一瞬妄想している間に、ランボがどこかにいってしまった!

「ええ〜!さっきまでここにいたのに!」

神社は人で込み合っていて、探すのなんかとっても難しそうだ!

「早く探さないと見つけられないかもな」
「変なこと言うなよ、リボーン!」

とりあえず名前を呼びながら探しまわる。
でも全然見つかる気配もない。
うう・・・恥ずかしい・・・

もう諦めようかと思ったそのとき、後ろから急に声をかけられた。

「ボス?」
「わー、新年から会いたくない人来たー!」

自称探偵のちょっとおかしい女の子はむっとしたような顔をして「失礼ですね」と言った。

「それよりも、ランボくんのこと探してたんじゃないですか?」

ぐい、と突き出されたのは確かにランボだ!

「な、なな、なんで!」
「飴の屋台の前で泣いてたんです」

見ると、ランボの手には飴が握られている。

「わ、ゴメン!」
「いいですよ、お年玉ももらったし」

ランボのやつ・・・
あとでちゃんと怒っておかないとな・・・

「おー、ツナー」

あとから山本と獄寺君が人をかき分けてやってくる。

「コイツすげーのなー。この人ごみの中、すぐにツナのことみつけて一人でいっちゃったんだぜー」

そうなんだよ、時々(本当に時々)すごいんだよな、コイツ・・・

「あれ?」

ランボに気づいて山本が苦笑いした。

「また飴買ってもらったのかー。
って、いいのか?なんか買うんじゃなかったっけ」
「いいんだ!」

そういってにこにことランボを撫でている。
ちっちゃいこ好きなのかなぁ。

「バカ牛!おめー今年も迷惑かけてるのか、って、十代目!!」

獄寺君はしゃきーん!と音がしそうな礼をして挨拶してきた。
い、いいってば・・・!!

「あけましておめでとうございます!」
「う、うん、おめでとう・・・」
「十代目を新年早々心配かけるアホ牛は俺が懲らしめておきますから!」
「え!い、いいってば!!」

獄寺君はランボから飴を取り上げる。
ただのいじめだー!!
あーあ、ランボ泣いちゃったよ・・・
って、バズーカを取り出して・・・

「こんなとこで打つなって!!」

制止の声なんて聞く訳もなく、ランボは十年バズーカを放ってしまう・・・!





ランボ君がバズーカを自分に向けて発射する!!

「わわ・・・!」

抱えていたランボ君が急にずっしりと重くなってしまう。
煙が晴れると、あの怪しい人が私の腕の中にいた。

「わわ、な、なんで!!」

「またお会いできましたね、若き愛しい人」
「あ」
「あ?」
「貴方のせいで誤解を受けたんですからー!!」

グーで思い切り殴る。
男の人は思いっきり飛んで行く。

「だ、大丈夫!?」
「は、はい!」

ボスに言われ思わず直立不動。

「あ、あの人は・・・!!」

「・・・気絶してるぜ」

・・・

「えへ」

「馬鹿力女・・・」
「あはは、まぁしょうがねぇって。元気が一番!」
「山本、それ違うー!」
「まったくしかたねぇな」

リボーンくんが肩に乗っかる。

「騒ぎを起こしたから誰か来たぞ」
「風紀を乱すものは許さない」

ひ、

雲雀さん!!
なんで!?
なんで既に臨戦態勢なんですか!

「に」
「逃げろ!!」

皆で走り出す!

・・・おみくじなんかひくまでもなく、 きっと今年もこんなばたばたな一年なんだろう・・・






↓ちょっと獄寺夢っぽいおまけ


帰り道、獄寺君と一緒になった。
(な、なんでだろう・・・)
無言で歩く、歩く。
あ、そういえば・・・!!

「じゃあ俺こっちだから」

「あ、あけましておめでとう!」

さっき会ったときから、ずっといおういおうと思っていたんだ。

「今年もよろ、し・・・く」

さすがによろしくはしてくれないかな・・・!

急に気づいて顔を上げた。
怒っているかもしれないと思った獄寺君は怒っていなくて、私がビックリするくらい顔を真っ赤にしてしまっていた。
きっと寒さのせいもあるかもしれないし、さっき走ったからかもしれない。
そして、その真っ赤な顔のまま、顔をそらしてぽつりと、「おう」と言った。

わ、わわ・・・
もしかしたら獄寺君って思っていたより怖くないかも・・・

「じゃー、またな」
「う、うん!」

獄寺君は急いで角を曲がって行ってしまう。私は何となくぼーっとしてしまった。







本当は作品内1月付近まで行ったら公開しようと思っていたのですが、
せっかくリアルで正月が来たので拍手にお礼として展示してみました!
いつも拍手くださるかたありがとうございます!

もしかしたら連載が作品内1月に追いついたら連載の場所に移動するかもしれないです!